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“だれ一人自分のためにだけ生きている人はいない”

エックハルト説教集

 小平小景

エックハルト説教集 (岩波文庫)

エックハルト説教集 (岩波文庫)

マイスター・エックハルトの「離脱」はボクらに〈神など知ることは出来ない〉ことを語る。で、その神へのアプローチがアポファティック(apophatic)なだけに、逆にかえって独特の修辞的な言い回しが耳?についてしまう。それで、あえてこちら(読むボクらまた聴衆)が、叙述できないこと、また叙述されないこと、否定すること否定されることを、つまりは「有」の無さえも取り除いてみるとさぁどうだろうか。否定され言辞されない「こと」の属性がうまく無くなって、その「こと」の本質がふんわりと見えてくる。取り除いたはずのものが、逆にカタファティック(Cataphatic)な効果さえ感じられる。で、その説教にまた耳を傾けていると、「離脱」にもだんだん慣れて?奇妙にも何だかすっぽりとした「解けた」心持ちがしてくる。くどく感じたものがすっきりしてくるのは、仏教でいうサマーディ(三昧)ということなのだろうか。「何だかオカシイ」と笑みさえこぼれ、〈神など知ることは出来ない〉ことを不思議なほどに愉快なほどに感じてくる。「神の国」はわたしの内にあるとただ思うばかりだ。