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“だれ一人自分のためにだけ生きている人はいない”

出来事はどうして起きるの?

岩波講座 科学/技術と人間〈10〉科学/技術と言語

岩波講座 科学/技術と人間〈10〉科学/技術と言語

 
ある出来事(事象)の説明は、はっきりした形式でいくつかの構成された順序立て(カール・ヘンペル Carl Gustav Hempel )を述べることである。これによって、私たちはある出来事の道筋をより分かりやすく見ることが出来る。科学的説明の本であるが一般の説明にも参考になる。「分かるとは何か -理論的理解の枠組み-」長尾眞 辺りを・・・おさらいメモした。
先ずは自分に説明しなければ。見えないものがよく見えてくることもある。順序立てを構成し、道筋を明らかにすること。推論に条件を与える。推論のルールは先験的なことや確率的なこと?確率の信頼度のレベルはどうか?命題に循環や自己回帰はないのか?などなど。

ある事象Eを説明するってどんなこと?

ある事象Eが生じたことの説明とは、

  • 1 ある幾つかの事象や状態C1,C2、C3・・・があり、
  • 2 ある法則やあるいは推論規則のL1、L2・・・から
  • 3 以上の2の法則や推論を組み合わせて事象Eを論理的帰結とする道筋を発見することである。

簡単に云うと・・・

Eの出来事の説明とは Eの出来事の帰結へ至る道筋を見つけること

なりより結論が論理性であること。
でこの道筋の中で
2の推論規則L1L2・・・はそれぞれに、

AならばBになるという、すなわちA→Bという形式をとっていて、

Aは前件(あるいは前提・仮定・条件)と呼ばれ、Bは後件(あるいは結論・帰結)と呼ばれている。それで、推論は、事象や状態Cを生じることの可能な前件Aを見つけ、対応させた結果としてBの結論として得るということの繰り返しによって行われる。

つまり、

推論とは状態Cとなる仮定Aによって帰結Bを導くことで行われる

たとえば事象Cが条件Aに対応して、A→B、B→Dという二つの推論規則が継続的に運用されるとすれば、

C=A (←事象CがAに対応するということ)

A→B、B→Dであり、 (←AならばB BならばDという状態になること)

C→Dとなる。すなわち事象CからDが結論される。

CがAに対応して A→B、B→Dであり C→Dとなる

二つの説明モデル

以上推論規則の運用のしくみが分かったが、推論規則の属性によって二つの種類の説明がある。

推論規則L1L2・・・が先験的に与えられた不変ものであると考えるときは、これは決定論的法則と呼ばれ、その場合は、事象Eの説明はC1C2・・・からの演繹となり、演繹的法則論的モデルによる説明と呼ばれる。一方これに対して、推論規則L1L2・・・が経験則であり確率的なものである場合には、Eの説明は帰納的確率的モデルによる説明と呼ばれる。

  • 演繹モデル

推論規則=先験的に与えられたもの

演繹的法則論的モデルによる説明の典型的なものは幾何学の定理の証明である。この場合には、L1L2・・・は公理あるいは定理であり、C1C2・・・は証明を求められている具体的な図形の各部の状態である。そして証明すべき事柄Eは、これらの各部に成り立っているある関係(状態)である。

そこで証明は、C1C2・・・公理あいるは定理の前提を満たすものがあれば、その公理あるいは定理の帰結が正しいとしてC1C2・・・の中に繰り入れてゆく。この操作を繰り返すことによって、事象C1C2・・・の中に繰り入れられたらEの証明ができたということになる。そしてこれが事象Eの説明となっている。

推論規則=経験則・確率的信頼度によったもの

帰納的確率的モデルにおいては、各推論規則Lが確率あるいは信頼度P(0≦P≦1)で成り立つという形で与えられる。すなわち、Lは先験的与えられるのではなく経験的に確率Pで成立すると考えるのである。したがってLの前提となる事象が100%正しいとしてもLを適用して得られる結論はPという確率あるいは信頼度をもつものとなる。確率P1の規則L1と確率P2の規則L2を継続的に適用して得られる結論は確率P1P2となり、信頼度は低下する。

同様の説明過程は、数学の定理の証明のような厳密な場合でない一般的現象の場合についても適用できる。