垂直性について・小林秀雄
先だって、小林秀雄の昭和14年頃の書評などをペラペラ捲っていたら、いわゆる「垂直性」について書いてある箇所があった。
小林は大学時代にジャック・リヴィエルに傾倒して、その自分の学生時代を回顧しながら
ジャック・リヴィエルのものを沈讀してゐた一時期があつた。セザンヌの畫を論じてゐるもののなかに、セザンヌの畫には、verticalite といふものがあるといふ文句があり、、これが卓見だと思つた。
しばらく垂直性ということが小林の絵の審美的指針になっていたということだ。
因みに・・・
リヴィエルの原文には、セザンヌの風景畫の畫面の下部の方に目方がかゝつてゐる感じが先づするもので、ヴァルティカリテとはそれを言ふ、と書いてある。
説明は省くが、このverticalite ヴァルティカリテ 垂直性を「苛立たしい」ということに見立てている様なところも小林にはあるようだ。
横たえるキリスト - Emmaus’の「垂直性と水平性」について
など興味深いコメントが寄せられていた。