Emmausブログ

人は見ね/人こそ知らね/ありなしの/われは匂ひぞ/風のもて来し

do your bestと言った若者 

頑張れという言葉は中年の者(特に臍まがりの)には禁物であろうかと中年を過ぎた私は思う。そうでもない。がともかくそれにしても、頑張りましょうと一概に言われてもその意味の受け取り方は様々である。実のところ一体誰がどう頑なに張り切るのか何をどうやるのか分からないのである。

「それって英語でDo your bestということだよ!」と、ある時賢くも事もあろうにまだ髭も生えぬある若い者がストレートに私にそう言った。足の長いジーンズのよく似合った若者だった。ちょっと引っかったがなるほどと思った。

実に分かっているつもりの実生活の主語や目的語がすうとその時眼の前に明らかにされていくのが分かった。それを境目に次ぎにやるべき事柄もリストアップされ更にもっと具体的やるべき内容に踏み込んで考えている自分がいるのだった。ついには「頑張る」という言葉への抵抗や躓きもどこへやら、自然の水の流れのように自分が自分で積極的に前に進むことが心地よく気持ちも解けて頑張る日々がしばらく?続いたのだった。「Do your best」はわたしのアイデアでもないのにおのれの調子者も大したものだ。遅延していた用件や予定も様々浮かんできて、気を強めて慌ててすませたのだ。

何も「頑張れ」の英訳の話ではない。こうして言葉の使い方の変化で日常のあやふやなことを表に現して我々の不明解な事も明らかにしてくれる。言葉にどう開くことが出来るか。どう曲がった自分の臍を素直にするかということである。まさにDo your best ! each other.特段外国語にすることもないと思う方には返って臍が余計に曲がって逆効果になりかねない。やり方はいろいろあろう。そんな方はそっとしておいた方がいい。それにしてもDo your bestとスマートに言ってくれたあの若者は今頃どうしているだろうか。