Emmausブログ

人は見ね/人こそ知らね/ありなしの/われは匂ひぞ/風のもて来し

見えない波動



夜勤の明けの日、身も心もすっからかんで、石のようにただ爆睡することがある。目覚めたら午前三時だ。昼に眠りに就いてまるまる15時間寝っぱなし。妻は夕食の時もわたしをそのままに起こさなかったのだろう。

意識は中心にあってくり返しを嫌う。まったくだ、言葉なんかおぼえるんじゃなかった。でどうするこの言葉の無用の莫迦さかげん。寺山修司が「一切は比喩である」と言った言葉が遠く近くに明滅する。やおら起きて水を呑む。いつも書きあぐねている夜がある。山本弘の作品解説(14)「秋雨」 - mmpoloの日記の絵がわたしの横に消え去ることはなくじっと佇んでいる。

三上さん(id:elmikamino)のブログの写真がカラーからモノクロになっているのをお気づきだろうか。眼を凝らす。あの黒の向こうに赤の予感がある。ある書物のエンブレムに「人間の薄墨色の領域にあっては、黒は赤への通底路である。」というのがあった。色の究極の「襲ね」は白、光だと、かつて三上さんが言った*1。襲ねの色のひとつが先ず赤だということではないか。
光と黒の対比、そのグラジュエーション。比類なき薄墨の世界。見えないという<遮り>は何だろう。がその遮り自体が述語として私たちの見える記憶を統語する。薄墨色の世界を遮られる<あるもの>としてつよく定める。そのあるものを三上さんは<霊>という言葉でなぞる。わたしはそのあるものを<波動>と呼びたい。黒い闇夜を趨る。闇に見えてくるものを信じないで、どうして光の中で見えないものの波動を信じられるだろうか。

三上さんのエントリー時が降り積もる - 記憶の彼方へに向って思いつくまま、書いてみた。三上さん、サンキュ!