emmaus.hatenablog.jp

“だれ一人自分のためにだけ生きている人はいない”

書き損じた一枚の絵はがき

あるはずの夏服が見あたらない。去年も探せなかった。止むなく部屋の天袋をあさっていると古い鞄の中から旅先で書き損じた一枚の絵葉書が出てきた。フィレンツェのアルノ川の写真で生前の父と母に出そうとしたものだ。“暑いです。明日はウフィツ美術館です”とだけ書いている。ずいぶんつっけんどんな物言いだ。とても若く硬質な字が信じ難く可笑しい。整理しようとしたが捨てきれず鞄にまたしまった。肝心の夏服は分からないまま夕方になったので諦めた。しかし、何か「儲けた」ような一日だった。