emmaus.hatenablog.jp

“だれ一人自分のためにだけ生きている人はいない”

冬のマーチングバンド

幾層もの薄紅の雲の合間から夕陽が河岸を照らしていた。昼間に雪の降った翌日のことだった。

対岸の草はらには子供たちが一つに列をなし西に向かって立ちすくんでいた。 鴨は川面で動かず、辺りの空気はキーンと張りつめていた。 子どもらは凛々しく面をあげ、マーチングバンドの始まりの高らかな小太鼓の連打に聞き耳を立てていた。

そして遂に、メジャーバトンを持つドラムメジャーの白い手ぶくろが鮮やかに空を切った。一斉に鴨が飛び立った。

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