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“だれ一人自分のためにだけ生きている人はいない”

白い退屈

小人閑居して不善をなす

差し当たりやることがない。でも時間がある。以前ならジョギング。しかし、今の体ではそれはできない。所在なく時間を埋める。またこれも有だ、今日の三じのお茶はお団子にしようかと思ってみた。

退屈のおそれ

ぼくは子供の頃はのんびり屋だった。社会に出て仕事について次第にいつしか集中し緊張しなければならない症候群?に習慣的になっていき、遂には、無駄な時間=閑は不善と思うようになり、仕事であれ遊びであれ何ごとも、時間の空きや退屈がある種の恐怖の対象とする時間の過ごし方を長く送ってきたわけだった。退屈は色にすれば黒だと忌み嫌っていた。日本人にはよくあるタイプだそうだが、当時はそれなりに充実していたとさえ考えて、さらに何かを 「手に入れる 」ために躍起になって生きていたのが実際だった。

睡眠障害

四年前睡眠障害であることが分かった。突然襲われる眠気。椅子から転倒するということが日常に生じてきた。気絶が自分に起きるなどとは信じ難かったが現実だった。夜の寝入りは悪くはなかったので睡眠障害と言われてもピンとこなかった。これを機に夜勤の仕事を降りることにした。生活を変えることにした。時間の過ごし方の変更だった。昼間の仕事に切り替えるとしばらくして気絶はなおった。

がん治療

その時間の使い方は、次に起きたがんの告知によるがん治療のなかで時間を持つこととして確かなものとして学んでいった。闘病ということばより、待つことの意義を知った。二年のがん治療の中で時間の過ごし方は人生の生き方も変えた。じっとしていること待つことの時間は辛抱のいること。退屈な時間でもあるが、さまざまな色の時間でもあった。

のんびりと寒山拾得

がん治療の経過はよく、先々月検査の結果がよく二年間のがんの薬物療法を終えた。これからは経過観察ということになる。まだ予断は許されないが一安心。 あらためて、退屈の中で緩やかな時間を友にすること1も「アリ」だということ気づきだした。色づけしない白の退屈ほど贅沢で豊かなものはない。この先いつしかほんとうの退屈ばんざいをしたいと思っている。猫は閑居して善をなす2。を願って。


  1. 芥川龍之介寒山拾得

  2. 長田弘「感受性の領分」