2005-02-07 失はれた酒 本 ある日 大海原に (どの空の下であったか) 「無」への供へにいささかの 惜しい酒を注いだ・・・・捨てたかったのは誰? 占ひのままのわれか? 心の憂ひに血を思ひ、 葡萄の酒を投げたのか?薔薇色のくゆりの後に 馴染みのもとの透明を 取り戻して海は澄んだ・・・・酒は失せ、波は酔ふた・・・・ 潮風の中に飛び立つ いと深い姿が見えた・・・・「魅惑」ヴァレリー 訳:中井久夫