「緑」さんが「青」さんをいつまでも頼みにしている理由
今日の話は、どうして緑を青というのかというお話です。
若い頃「青梅 マラソン」にでたことがありました。普段よく使う食材に「青柚子」、「青唐菓子」があります。青菜も好きだし、 梅雨明けの街路樹には青桐があって、好きな器は青磁。
万葉のころには「青丹よし」という枕詞があります。緑の色なのになぜ?青。
以前からふしぎに思っていた「青と緑の関係」。ネット上をみても判然としませんでした。 やっとその由来や理由がわかって来ました。 明鏡国語辞典の編者の北原保夫氏の「青田は青いか」にはそれが書いてありました。
要点は,,.
- 青の色の範囲の広さ
- 緑は新芽の意
- 緑を青と表す理由
- 形容詞「緑い」が存在できない制約
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- 青は古来から緑色を指す。(青葉 青草 青蟇 青柿 青豆 青菜 青海苔 石蓴 など)
- 緑は木々の若枝、新芽。若いという意。
- 色として「青」と「緑」 を区別認識できるのに、緑を青というのは、「青」という語が、緑をも表すから。
「緑」には、「緑い」という形容詞がない。←これがポイント
- 形容詞の語音構造について 形容詞には、客観的(属性的)な表現をするものと主観的(情意的)な表現をするものがある。
- 色に関しての形容詞はク活用*1である(赤い 青い 黒い)。緑も形容詞のかたちをもつとすれば、「緑い」となるはずである。
- ク活用の場合は語幹の最後の音は、イ列音はあってはならないという規則がある。「みどり(緑)」の最後(り)の音はイ列音であり、制約に抵触してしまう。よって「緑い」は成立しない。
以上です。「緑」さんが「青」さんをいつまでも頼みにしている理由でした。そういえば、緑でも青信号といいますね。みどり信号では語呂が悪いのかも。では。
*1:形容詞のある語が「ク活用」か、「シク活用」か見分けるには、助詞の「て」「なる」を接続させるとわかります。 「ク活用」なら「くて」となり(よし→よくて)、「シク活用」なら「しくて」 と(美し→美しくて)なります。