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“だれ一人自分のためにだけ生きている人はいない”

戦わないという戦い

健康で病気もしないなら、からだのしくみなどは考えずに過ごしていたと思う。
平和で穏やかな日々を支えていたものが、実はからだの免疫細胞の絶え間ない戦いがあったからだという思いにはなかなか至らない。

がしかし、ぼくらの意志や志向に関わらず、からだの中では病癖につながる遺伝子異常やからだの中に侵入してきたウィルスや細菌などの危険な異物に対して免疫システムというからだのネットワークの強い恵沢にぼくらは今もいつもつねに浴しているわけである。

そういう訳で、お人好しのぼくの体に発症したがん細胞を限局まで抑えていたのは、怯まないからだの細胞たちのおかげだった。
IMRT (強度変調放射線治療)という放射線治療は終了し確かなものだったし、それに伴う薬物療法も現在進行形だが、やはりからだそのもにある強い治癒力の果たす働きは大きかった。生き延びた平凡とは現代医療と生命を保持する免疫細胞群の非凡な果敢な戦いの勝利だったとも言えるのではないか。

まさに生命の強さに震撼したこの一年だった。闘病という言葉の輪郭とその戦いの内容と意味が自分としてやっと理解でき納得できるようになった。

からだの細胞たちが戦っている。がん細胞を殲滅することが目的ではない。適正な薬の投与でなければ体の戦いのダメージはあまりにも大きい。QOLとADL(生きていく質と日常動作)を考慮すべきである。戦わずして生き抜き勝つことにこそ意味がある。戦わない戦いをぼくはこれからも続けようと思う。まだ予断を許さない状態である。あと10ヶ月薬物療法は続く。薬の副作用も思った以上に辛い。

「相手を制するのは先ずは自分に勝つ者だ」という言葉を記しておこう。